【2024年の見どころ】
今年の題材は『矢の根八幡』である。制作者は内山龍星氏。以前も制作したことのあるテーマで、得意な題材だ。知られているように、北の果て下北半島の尻屋は東北の鬼門にあたり、鬼神が住んでいて住民を困らせていた。そこで人々は源頼義に鬼退治をお願いした。ある日、悪鬼が現れ、たちまち兵士達は踏み殺されてしまった。その時一羽の白鳩が飛び立ち白衣の明神が現れ弓に矢をつがい引き放つと悪鬼の額の中心を討抜いた。頼義はすかさず首を切り落とした。やがて頼義は神に感謝し、そこに石清水の八幡宮をまつり鈴ヶ森の八幡宮を宮本と定めた。そこは、「矢の根八幡」と呼ばれ地元の守護神としてまつられている。
この物語は、むつ、下北半島が題材となっており、そのためむつ市からの参加が注目される。
【歴史】
消防団第二分団ねぶた会・アサヒビールの歴史は長く、今年で72回目の出陣となる。『青森ねぶた誌』を紐解けば、1952(昭和27)年に青森消防第二分団三班がはじめて登場しているが、1955年の記載では、7回目の出陣となっている。歴史的には青森ねぶたはもともと地元の消防団や港町の関係者がねぶたを出陣させていた。そのため、に組・風力開発グループとならび消防団としてはその伝統を受け継いでいる団体といえるだろう。アサヒビールがスポンサーになったのは1990年(平成2年)からである。その他ヤマモト食品、スバル自動車、マツダ自動車などもスポンサーについたことがある。
【運行】
団員が中心となって運行を行っている。昨年は4年ぶりの出陣ということもあり、運行でやらなければいけないことを忘れてしまいミスがあったという。今年は、昨年の反省を踏まえ準備期間を1か月延ばし念入りに準備している。まとまった運行を目指し、運行スタッフ集めを行い、役割分担することで整った体系の運行が見られるだろう。
囃子は龍鼓会が担当している。会員数は60人ほどと去年から減少してしまったがその中でも後継者・若手の育成に力を入れており数年後、祭で輝くことが期待されている。曳き手は青森中央高校と青森北高校の野球部の学生アルバイトが8割ほど、残り2割を一般の中学生、高校生、大学生で行われている。
跳人は、例年約150~300人で、地元の事業者や青森中央学院大学をはじめとする学生、スポンサー関係の方々など幅広く参加している。今年は500人を目標としている。また今年のねぶたは下北と関係があり、むつ市と連携する。出陣日は3、4、5、6、7日となっている。
【協賛】
前ねぶたは、協賛であるアサヒビール、アサヒ飲料、日清食品、NECが出陣する。
文責:鳥山凌空
写真:2024年 消防二分団ねぶた会・アサヒビール『矢の根八幡』 制作者:内山龍星