青森市役所ねぶた実行委員会

~世代を超えた絆の輝き~

【2024年の見どころ】

 制作者は、昨年と同様、福士裕朗氏である。今回のねぶたの題名は、『十和田湖伝説・八之太郎と南祖坊』だ。十和田湖を住家としようとする南祖坊と、すでに住み着いていた八之太郎との戦いの場面を描いたねぶたである。八之太郎が戦いで化身した大蛇や、南祖坊が投げつけた法華経の経文が鋭い剣となり八之太郎に突き刺さる様子などを表現している。

 また、昨年に引き続き、今年も青森市役所ねぶた実行委員会の前ねぶたとして、公立大学で制作した前ねぶたが出陣する。前ねぶたの題名は『鬼門大金神』であり、困難な問題にぶつかったとしても真摯に向き合い、立ち向かおうとする学生の姿を「大金神」の「鬼門」を破らんとする力強い姿で表現している。学生達で協力して制作したねぶたなので、ぜひ注目してほしい。

 

【運行団体の歴史】

 青森市役所ねぶた実行委員会は1958年(昭和33年)の運行開始以来、今年で64回目の出陣となる。職員の福利厚生の一環としてだけでなく、地域のお祭りへの参加を通じて、ねぶたの伝統文化保存への寄与ということを目的としている。市役所職員は公務としてではなく、任意団体である市役所職員の互助会の事業に参加という形でねぶた祭りに参加している。

 

【運行団体の特徴】

 今年の出陣日は8月2、4、5、6、7日である。「誰でも自由に楽しく」をテーマとして運行しており、小さなお子様連れの方でも安全に跳ねることができる「子どもハネトスペース」を設けるなど、年齢に関係なく誰でも跳人として参加しやすくなるような工夫をしている。昨年は、跳人全体で5日間合計約1,300人が参加しており、特に中日(8/4~8/6)は1日あたり300~400人が参加した。

 囃子は、「みんなが楽しく演奏している」ことが特徴で、地域交流の場にもなっている。沿道のお客様にも楽しんでもらえるよう、国道に出たときでも太鼓の台車から離れて観客席の方に出向いて笛と手振り鉦を演奏するという工夫をしている。囃子方は現在100人くらいが登録しており、そのうち約50人の方が参加している。なお、昨年から青森公立大学の囃子サークルも市役所ねぶたに参加しており、今年は市役所の半纏を着て参加する。若い力が加わった演奏に注目してほしい。曳き手は、経験豊富なベテラン職員の方を中心に、アルバイトも合わせ、約20人で行っている。

 

 文責 阿部仁菜

写真:2024年 青森市役所ねぶた実行委員会『十和田湖伝説・八之太郎と南祖坊』 制作者:福士裕朗