【2024年の見どころ】
今年の題材は、「達谷窟伝説」。制作者は北村春一氏。坂上田村麻呂が鬼を退治する数ある伝承の中のひとつ。奥州達谷窟には、悪路王という鬼が住んでおり、坂上田村麻呂によって討伐された。田村麻呂は毘沙門天を祀り、達谷窟毘沙門堂を建立した。ねぶたは達谷窟伝説に由来する姫待の滝で田村麻呂と悪路王が対峙する場面である。
過去6年間に渡り、NTTねぶたグループにて美しい女ねぶたを制作してきた北村春一氏であるが、今年は勇ましい男ねぶたを創り上げる。流れ落ちる滝の躍動感や水しぶきの流動感と、鬼と坂上田村麻呂のシンプルな構図の織りなす迫力は注目するべきポイントである。鬼の赤と、滝の青が対を為す色彩の美しさにも目が離せない。
【歴史】
NTTグループねぶたは通算して64回目の参加となる団体である。発足当初は「NTTグループねぶた」ではなく、「電気通信省」や「電気共済会」という名称だった。名称が電気通信省だったとき、部長から「職員と一緒に何か楽しくやれるものはないか」という話があり、職員の士気高揚と、青森市の祭りに貢献するためにねぶたを出陣したのが始まりだ。グループ関連会社であるNTT ドコモ、NTTファシリティーズ、NTTデータスマートソーシングなどが協力してねぶたを出している。
【運行団体の特徴】
出陣日は、2、4、5、6、7日。
NTTグループねぶたは、『ねぶたの伝統を未来へつなぐ』をコンセプトに、全社でねぶた祭に臨んでいる。青森市内においても、地域ねぶたが中止になるなど、地方の伝統的な祭が消えゆく中、次の世代へ確実に伝統を繋ぎ、伝えることを目指している。子どもがねぶたへ参加する機会を創出することを目的に、青森市立北中学校の生徒とコラボし、囃子方として5日の運行に臨む。約60名の北中学校の生徒と共に響かせるお囃子は、次世代へねぶたが紡がれていく様子がうかがえることだろう。また、従来のねぶた祭参加者の高齢化や参加者減少を受け、NTTでは他県の社員に対しねぶた祭参加者を募集しているようだ。他県社員からの人気は高く、今年は1日あたり20名ほどの参加者を予定しているとのことだ。担い手の創出や関係人口の増加に貢献しており、サスティナブルな運営を目指している。
さらに、取り組みの一環としてねぶた本体の3Dアーカイブ事業も行っている。NTTグループが蓄積したノウハウを生かし、ねぶたをデータ上でいつでも見られるようデジタルアーカイブしたものだ。毎年、ねぶたがどのようなものか思い出せる革新的な取り組みである。
運行中は、跳人を率いる「掛け声台車」の盛り上がっている様子にぜひ注目していただきたい。
【協賛】
NTT東日本やデータスマートソーシング等、グループ会社が主に協賛している。
前ねぶたは、NTT(ダイナミックグループ)マークと、docomoポインコの2台。
文責:内海 空
写真: 2024年 NTTグループねぶた『達谷窟伝説』 制作者:北村春一