【2024年の見どころ】
制作者は例年通り第六代ねぶた名人位北村隆氏である。今回のねぶたの題名は「朝比奈三郎 鰐鮫を生け捕る」だ。源頼家が水練の技の披露を命じ、朝比奈義秀が三匹の鰐鮫と格闘している場面を描いたねぶたである。北村氏にとっては珍しい一人ねぶたと鰐鮫である。送りは閻魔大王と朝比奈三郎が戦っている場面である。北村氏の作るねぶたの迫力を見て欲しい。
【団体の歴史】
戦後から出陣し2024年で76回目の出陣になる。消防団の中の一つの班で「に組」としてねぶたに参加している。当初は本町の地域ねぶた「消防第三分団に組」として出陣しており、ねぶた師である北川啓三に制作を依頼していた。に組若者中心で活動しており、東芝が40年以上メインスポンサーについていた。運営の中心である「に組本隊」は「に組」組頭を筆頭に約10名で構成されており、ねぶた運行全体を仕切る役割担っている。他に20年以上の歴史を持つ「に組般若会(はんにゃかい)」と「に組に援会(にえんかい)」があり「に組」の協力会としてねぶた祭本番の際、運行統制を行っている。北村隆氏に依頼してから2024年で16年目。毎年テーマ設定はしないが、2016年は70周年の記念として消防団の纏(まとい)を取り入れてもらった。2022年からメインスポンサーが東芝から、日本風力開発(株)にかわり団体名称も変更している。
【運行団体の特徴】
今年の出陣日は8月3~7日である。毎年「青森市民の皆さん、特に子供たちに喜んでもらえるような粋な運行を心がける」をテーマとして運行している。7日は全て子供たちがいる場所にねぶたを向ける。また、台上げが終わった後からはどんどん子供たちをねぶた小屋に入れてあげたり、制作者がいた場合は子供たちが知りたいことを質問できるようにしたりしている。囃子は100人前後が参加。「青森ねぶた囃子保存会 に組(に組はやし方)」は約400名所属しており、一年を通して囃子練習をしている。「に組はやし方」は白半纏が特徴的であり、それに憧れる人も多い。白半纏を着るためには、練習にきちんと参加しているかが重要で、1年間練習をしっかりやっているのが認められれば2年目の本番で白半纏を着ることができる。本番は道路によって笛や手振り鉦の人は観客の近くに行き自由に楽しませている。観客が楽しむのを見て自分たちも楽しくなるそうだ。昔からのしきたりを尊重し、マイクやスピーカーなどの音響は一切使用しない。
跳人は毎年多くの人が参加しており、2000人程が参加。運行体系距離の110mの規定がなかった時は300mくらいが跳人で埋め尽くされていた。カラス跳人の全盛期には必ず「に組」のねぶたが最後尾で、カラス跳人を制圧するなど昔からカラス跳人を怠りなく排除してきたことにより青森市民からは安全に跳ねられる場所として根付いているからである。毎年参加数が多いため、子供がいる人は一番前、ベビーカーを押しながら参加する人は一番後ろとエリアごとに分けて安全面を確保している。跳人を守るという点で、この説明を必ず行うことに毎年力を入れている。跳人の衣装や浴衣の貸し出し・レンタルはしていない。花笠だけは貸し出しをしていて、100個位を用意している。
ねぶた本体の曳き手は前に10人後ろに10人の20人だ。前の曳き手はボランティアで後ろの曳き手はアルバイトである。に組の曳き手をやりたいボランティアの方が多いため、希望人数が前の10人を超えたら後ろに入れアルバイト人数を減らすそうだ。
【協賛・前ねぶた】
協賛は日本風力開発とサッポロビール、NEXCO東日本、町内からの協賛金、県内外の企業である。2024年度の前ねぶたは日本風力開発とサッポロビール、ポッカサッポロ、NEXCO東日本、THE ALFEE50周年記念前ねぶたの5つが登場する。
文責:阿部仁菜
写真:2024年 に組・日本風力開発グループ 『朝比奈三郎 鰐鮫を生け捕る』 制作者:北村 隆