【2024年の見どころ】
制作者は、例年と同じく林広海氏である。題材に関して日本通運からの指定は特になく、林広海氏が決定している。今年の題材は「怪猫佐賀の夜桜」である。この題材は江戸時代の佐賀藩成立期に龍造寺家と鍋島家の間の御家騒動であり、龍造寺又七郎の母は飼っていた猫に息子の死の悲しみを語り自害してしまう。猫は母の死体から流れた血を飲み化け猫となり、鍋島光茂を殺そうとするが忠臣・小森半左衛門によって退治されてしまうという古典的な題材である。送りには、桜から関連して「花咲か爺さん」が配置されている。ねぶたの見どころは、今にも小森半左衛門に襲い掛かろうとする巨大な化け猫とその周りを舞う桜である。
【歴史について】
日本通運ねぶた実行委員会は、昭和22年から連続して祭りに出陣しており、2016年には70周年を迎えた最も古い歴史を持つ団体の一つである。祭りに参加することとなったきっかけの一つに、祭りに参加したいという従業員の声があった。その始まりが現在まで脈々と続き、70年以上の歴史を築き上げた。ねぶた祭を広告媒体と捉えるのではなく、地域貢献の一環としてこれまで参加している。
【運行団体の特徴】
出陣日は8月3,4,5,6,7日である。日本通運ねぶた実行委員会は最多連続出陣団体であり、今年で76年目を迎える。囃子団体は、「青森郷土芸能ねぶた囃子保存会」である。囃子方は総勢40~50人所属しており、日本通運社員も3名ほど所属している。鉦、太鼓、笛の3つができて一人前とされ、担当の楽器以外も演奏することが当たり前とされている。運行中は、昔ながらのファンも含め、見ている人がかっこいいと思えるように魅せる囃子を心がけている。大型ねぶたの曳き手は前方に社員、横には社員とアルバイトの半々。後ろにはアルバイトの方々が配置され、総勢約30人で運行している。
跳人が最も盛り上がる日は8月3日であり、メインスポンサーの1つであるOLYMPUSの関係者が観覧や跳人として参加している。ねぶた台車の組み立てや台上げといったねぶたに関わる準備は、市内店所に在籍する社員を中心に呼びかけ行っており、日本通運社員一体となってねぶたを支えている。
日本通運ねぶた実行委員会は七日日の運行を終えた後、惜しくも受賞を逃した場合は途中まで受賞したねぶたの後ろについて運行し、NX日本通運(株)青森中央物流事業所に向かう。中央物流事業所にある従業員駐車場では8月8日にねぶたの解体作業が行われている。太鼓台車、ねぶた台車共に冬季期間などはNX日本通運(株)青森中央物流事業所に保管されている。
【日本通運ねぶた実行委員会の協賛企業】
協賛による前ねぶたの出陣は、BOAT RACE、Yoster、日本通運の三台である。また、「BOAT RACE」、「Yoster」の前ねぶたは林広海氏が制作する。協賛は損保ジャパン、 OLYMPUS、BOAT RACE、朝日生命、青函フェリー株式会社、ENEOSグローブエナジー、紫波運輸である。
文責:伊藤源大
写真:2024年 日本通運ねぶた実行委員会『怪猫佐賀の夜桜』制作者:林広海