【2024年の見どころ】
今年の大型ねぶたの題材は第七代ねぶた名人である竹浪比呂央氏の『新天地 海峡の先へ』である。舞台は青森県外ヶ浜町、この地に息づく義経伝説を通して、龍の如く天を飛翔し、馬の如く疾駆する麒麟や義経を導く老翁の姿や、義経が新天地へはばたく姿は、青森がさらなる高みへと向かうことを強く願うものである。本体に登場する人物は老翁となっており、源義経は送りに登場するので裏表でワンストーリーとなっているのが特徴だ。ぜひ観覧の際は送りまで注目してほしい。
【歴史】
青森菱友会は平成 2 年に初陣、以降毎年出陣している。平成 2 年からいずれも竹浪比呂央氏が制作を担当している。令和元年は出陣 30 回目の節目の年であった。令和2年度、3年度は青森ねぶた祭がやむなく中止となってしまったため、今年は出陣33回目となる。本団体は平成 30 年に『岩木川 龍王と武田定清』でねぶた大賞を受賞し“平成最後のねぶた大賞”を受賞した団体となった。また、平成30年に続き、令和元年にも『紀朝雄の一首 千方を誅す』でねぶた大賞を受賞し、「令和最初のねぶた大賞」を受賞した団体となった。その他、令和5年『牛頭天王』をはじめ過去6回ねぶた大賞を受賞している。
【運行団体】
青森菱友会ねぶたの今年の出陣日は、2、3、5、6、7日の5日間である。青森菱友会は地域とのつながりや青森県の文化風土を大切にしているので、ねぶたはあくまでも地域に密着した題材となっている。地域の歴史と文化を深く感じさせるとともに、祭りの伝統を未来へと引き継ぐ素晴らしいねぶたとなっている。運行は体系や隊列に力を入れており、国道沿いに並んでいるビルに菱友会のスポンサーが入っているのでそこに見せるように運行している。青森菱友会囃子方は音響を使わない生のお囃子を聞くことができる特徴がある。また、跳人は1日に200~300人ほど参加しているのでねぶた本体・運行・囃子・跳人を通して非常に見応えのある団体となっている。現在四年連続ねぶた大賞を受賞しているので、5連覇を目指し頑張っている。ぜひ、ねぶた祭りでこの勇姿とねぶたの迫力を体感してほしい。
【協賛・前ねぶた】
前ねぶたは、三菱マークをかたどったものとなっている。今年初登場するのは、青森県出身のアーティスト、GOMA氏が制作する『天翔る龍馬』だ。ねぶた祭りにねぶた師ではないアーティストの人形ねぶたが出陣するのは史上初らしく、精密かつ大胆な画とねぶた技法のコラボレーションに是非注目したい。協賛は三菱グループ企業となっている。
文責:中野 ありす
写真:2024年 青森菱友会 『新天地 海峡の先へ』 制作者:竹浪比呂央